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【なぜ僕らは働くのか?⑨】

学院では福祉のコースの講師になることになりました。

私が担当したのは「ホームヘルパー2級の養成講座」を県内の各地で開くことを任されました。

学院の生徒が対象ではなく、一般の方が対象です。

講座も各地の公民館や市民センターのような所で行います。

ワゴン車にベッドや車椅子、ポータブルトイレなど講習で必要とするあらゆる道具を積み込んで自ら運転して会場へ向かいます。

長崎県内と言っても広範囲に渡りますので、私が担当する地域は長崎市内から2時間以上掛かるところばかりでした。

一日ののスケジュールは大体以下の通りでした。

5:30自宅を出発
8:00会場到着
9:00講座開始
17:00講座終了
19:00営業の電話
20:00テスト採点
21:00翌日の準備
22:00仕事終了
22:30帰宅

当初の予定では昼間働いて、夜間は整体のクラスで学ぶという話でしたが、とてもそのような暇も時間もありません。

毎日ヘトヘトになりながら、家に帰っても、ただご飯を食べて、風呂に入って、布団に入って寝るだけ。

また、朝がやってきます。

毎日この繰り返しです。

本当に朝がくるのが嫌でした。

確かにお給料を頂いた時にはビックリするような金額を頂きましたが

これでは、ただお金の為に働いているようなものです。

二刀流で働いていた時は夢があっからこそ、頑張ることができましたが、

この時は生活の為、ご飯を食べる為だけに働くロボットのような感覚でした。

働き出して3カ月ぐらいに経った頃、身体に異変が起き始めました。

朝、仕事に行こうとして玄関に向かうと吐き氣を催すのです。

慌ててトイレに駆け込み、それから仕事に行くことが習慣になりました。

仕事中は緊張しているせいか、なんとかやり過ごすことができるのですが、

家に帰り着き、玄関を開けた途端にまた吐き氣を催しトイレに駆け込んでいました。

極度のストレスから心身のバランスが崩れ、これが毎日続くようになりました。

私は野球で培った努力と根性と忍耐力は人一倍あると自負していたので、自分がこんなにメンタルが崩壊する状態になってしまうとは思いもよりませんでした。

家族との会話もなくなり、友達との付き合いも減り

今考えると心までも病んでいた状態だったと思います。

仕事に対してのやりがいはこれっぽっちもなく、ただ、1日の業務をこなすだけ

夢も忘れてしまって

お金を稼ぐだけのために働く日々

完全に自分を見失っていました。

なんで、こんなことになってしまったんだろう?

つづく

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